第4回スポーツセーフティーシンポジウムの開催

イベント・活動報告

今年でスポーツセーフティージャパンは設立10周年を迎えました。

この10年の間、スポーツが安全に行える環境の実現を目指し活動を続けてまいりましたが、その集大成として『スポーツセーフティーガイドライン2018 ~日本のスポーツ現場における安全基準の構築へ~』というテーマで第4回目のシンポジウムを2017年11月25日に開催いたしました。

各分野の専門家の先生方から現在の取り組み、現在抱える問題、目指すべき姿をそれぞれの立場でお話しいただきました。

また、国際スタンダードなどを考慮し、日本のスポーツ現場で実現可能な安全管理体制を提案しました。

小出 敦也氏

『高校における専任アスレティックトレーナーの活動の現状と課題』

現在、日本国内で学校専任のアスレティックトレーナーとして活動している方は少ないのが現状です。そして、どのような活動をしているのかも不明確です。

参加者の方に学校におけるアスレティックトレーナーの役割や生徒や先生方から何が求められるかを説明していただきました。

大川 靖晃氏

『日米大学のスポーツ安全管理体制の比較 – アスレティックトレーナーの視点より –』

近年、日本では日本版NCAA (UNIVAS)が注目を集めいています。

実際にアスレティックトレーナーなどのサポートスタッフから見た場合、大学スポーツの安全面において日米面でどのような違いがあるのか、帝京大学スポーツ医科学センターの取り組みも紹介していただきました。

佐保 豊氏

『スポーツセーフティーガイドライン2018に関して』

日本のスポーツ現場で実現可能な安全管理体制をスポーツセーフティーガイドライン2018として提案させていただきました。

NPO法人スポーツセーフティージャパンのアドバイザーである各分野の先生方(大橋氏、中山氏、永島氏)から具体的な内容をお伝えさせていただきました。

大橋 卓生氏

『スポーツ事故 – 事前の安全対策と法的責任の関係-』

事前の安全対策を講じていてもスポーツ事故は生じることがありますが、この場合、指導者などの法的責任はどのように考えれば良いのでしょうか。

明確な線引きはできないものの、過去の裁判例に照らし、事前の安全対策がどこまで法的責任を回避しうるのかを説明していいただきました。

中山 晴雄氏

『スポーツ頭部外傷の病態生理から現場における安全な対処方法構築の取り組み』

近年、スポーツ頭部外傷に関する指針や提言が次々に発表され、スポーツ活動の現場では、徐々にスポーツ頭部外傷の認識が共有されつつあります。

一方、実際の現場においては、安全な対処方法の構築は未だ十分ではありません。

従って、各競技団体や組織が各々の組織において指針に示されるような総論的安全対策について如何に各論的対処方法として構築して行くかが肝要です。

本講演では、スポーツ頭部外傷の病態生理から、本邦におけるスポーツ活動の現場での安全な対処方法構築について説明していただきました。

永島 計氏

  1. 体温調節の基礎研究から見た熱中症の病因、予防、対策
  2. スポーツフィールドでの心疾患発症:AEDでは解決できない疾患の知識

熱中症は暑熱などの環境因子、個体が行う相対的な運動強度や暑熱への順化の程度によっても、そのリスクは大きく異なります。また、病歴、薬剤の服用、社会的な要因も加わります。

まずはじめに熱中症の非常に複雑な病因を整理し、スポーツ選手・指導者・トレーナーが、どのように対応していけば良いかを参加者と一緒に考えました。

また、中等度以上の熱中症になった場合の初期対応をどうすれば良いかを、現在あるいくつかの方法を例示しながら実験データから、そして理論的に説明していただきました。

高負荷での運動は多くの心疾患を誘発する原因であり、これらの心疾患は、事前に察知できる場合と、そうでない場合があります。

AEDの整備/ 使用は運動によって誘発される重症不整脈の有効な解決手段となっているが、AEDが対象にならない心疾患も多く存在しています。

これらの心疾患の発症原因、考えられる可能な対策を述べていただきました。

最後に質疑応答とパネルディスカッションを開催しました。

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